司法試験・予備試験実践論証

予備試験合格・司法試験総合42位合格者作成の論証集。予備校講座の一歩先へ。

会社法

会社法5機関⑸役員等の責任Ⅱ-対第三者責任(429条1項)

429条1項の対第三者責任については、難しい議論もありますが、答案に必要な限度で見ていきましょう。 趣旨 要件 任務懈怠 悪意重過失 損害 直接損害事例 間接損害事例 株主と「第三者」 相当因果関係 責任主体 名目上の取締役 登記簿上の取締役 選任決議欠缺…

会社法5機関⑸役員等の責任Ⅰ-任務懈怠責任(423条1項)

会社法最頻出分野の一つである、任務懈怠責任(423条1項)についてみていきましょう。任務懈怠責任を書く場合には、まず要件を明示して、それぞれの要件検討の中で論点を展開していきます。その意味で、本稿の目次のような形で頭を整理しておくとよいでしょ…

【論証】会社法5機関⑶取締役会

ここでは、取締役会に絡む論点として、取締役会決議を欠く取締役の行為の効力、瑕疵ある取締役会決議の効力について検討します。 取締役会決議を欠く取締役の行為の効力 「重要な財産の処分」 決議欠缺取引の効力 瑕疵ある取締役会決議の効力 総論 「特別の…

【論証】会社法5機関⑵取締役Ⅲ

今回は、取締役の行為差止請求権についてと取締役の報酬についての諸論点を検討します。 取締役の行為差止請求権 要件 判決(決定)違反の効力 報酬 報酬額の決定 報酬規制の適用対象 定款または株主総会の定めがない場合の報酬請求権 報酬の事後的変更 取締…

【論証】会社法5機関⑵取締役Ⅱ

取締役にかかわる論点の中で、ここでは、競業取引規制と利益相反取引規制について検討します。 取締役は、会社に対し、善管注意義務(330条、民法644条)・忠実義務として、会社の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ってはならないという義務を負いま…

【論証】会社法5機関⑵役員の選解任・取締役Ⅰ

選解任における論点として、「正当な理由」の意味について検討します。次に、取締役の分野ですが、この分野は論点が非常に多いので、まず表見代表取締役について検討し、それ以外の論点については次回以降扱います。 「正当な理由」 表見代表取締役 第三者の…

【論証】会社法5機関⑴株主総会

株主総会は司法試験・予備試験でもほとんど毎年出ているといってもいいほど頻出の分野です。株主総会決議の効力の争い方として出題されることが多いので、まず取消事由、無効事由、不存在事由の総論の論証を展開してから、総会決議の瑕疵について検討すると…

【論証】会社法4新株予約権

ここでは、新株予約権に関連する問題として、敵対的買収に対する防衛策の許否(新株発行において問題となることもあり得ますが、論証は同様です)及び、やや応用的論点となりますが(といっても百選掲載判例であり、十分出題可能性はあります)、非公開会社…

【論証】会社法3株式⑷募集株式の発行等

会社法は第2編第2章第8節(199条以下)において「募集株式の発行等」について規律しています。「募集株式の発行等」には、新株発行及び自己株式の処分が含まれます。 ここでは、論文でよく問われる新株発行及びそれを争う方法について検討します。 新株発行 …

【論証】会社法3株式⑶株式の譲渡・自己株式の取得

ここでは、株式の譲渡及び自己株式の取得にかかわる論点について検討します。 株式の譲渡 株式の譲渡自由の原則 定款による譲渡制限 契約による譲渡制限 自己株式の取得 手続規制違反の自己株式取得の効力 財源規制違反の分配の効力 株式の譲渡 株式は、原則…

【論証】会社法3株式⑵株主名簿

株式の譲渡(その他の場合にも以下の規定の適用があるかは後述します。)は、株主名簿の名義書換をしなければ株式会社に(非株券発行会社では、会社以外の第三者にも)対抗できません(130条1項2項)。 株主名簿の効力として、 ①資格授与的効力(株主として…

【論証】会社法2設立

設立において論文で出題可能性が高いのは、出資の履行の仮装についての論点と設立中の発起人の行為の効果が成立後の会社に帰属するか否かという論点でしょう。 設立に関する責任(任務懈怠責任(53条1項)、出資の履行の仮装の場合の責任(52条の2第1項、102…

【論証】会社法1総則

会社法総則は学習がおろそかになりやすい分野だと思いますが、出題の可能性はないとはいえないので、ポイントだけ抑えておくとよいと思います。 ここでは、重要と考えられる法人格否認の法理、名板貸責任、表見支配人、事業譲渡における譲受会社の責任(商号…

【論証】会社法3株式⑴総則Ⅱ-株主平等原則・利益供与の禁止-

株式総則の部分で重要な論点として、株主平等原則(109条1項)と利益供与の禁止(120条)があります。 株主平等原則 株主平等原則の基本 株主平等原則の例外 利益供与の禁止 利益供与の禁止の基本 「株主の権利の行使に関し」要件―株式譲渡― 例外的に許容さ…

【論証】会社法3株式⑴総則Ⅰ-株式の共有-

株式の共有(正確には準共有(民法264条)ですが、会社法も「共有」としている(106条参照)ので「共有」で構いません。)については、権利行使者(106条本文)の指定方法、会社の同意(106条但書)、共有株主の原告適格、権利行使者による議決権の不統一行…