司法試験・予備試験実践論証

予備試験合格・司法試験総合42位合格者作成の論証集。予備校講座の一歩先へ。

【論証】刑訴4証拠法⑵伝聞証拠

刑訴法の中でも最重要かつ最頻出分野の一つである、伝聞証拠の証拠能力についてみていきましょう。

 

 

伝聞証拠と伝聞法則

 

供述証拠(知覚・記憶・表現・叙述という供述過程を経て生み出される証拠)の証拠能力が問題となっている場合には、伝聞法則(320条1項)の適用の有無が問題となります。伝聞法則により証拠能力が原則として否定される証拠のことを伝聞証拠といいます。すなわち、当該証拠が伝聞証拠にあたるのかどうか、をまず審査することになります。

 

【論証:伝聞証拠】

 そもそも供述証拠とは、人間の知覚・記憶・表現・叙述というプロセスを経て生み出される証拠をいう。そして、上記各プロセスには誤りが入り込む可能性が高いにもかかわらず、公判廷外における供述を内容とする証拠については、反対尋問(憲法37条2項前段)等の方法によって、供述の信用性を吟味し、内容の真実性を担保することができない。そうすると、かかる証拠を許容すると事実認定を誤るおそれがあるから、このような証拠は原則として証拠能力を否定されるべきである。伝聞法則(320条1項)は、このような証拠を排除して、正しい事実認定を確保する趣旨の規定であると解する。

 したがって、伝聞法則によって証拠能力が原則として否定される伝聞証拠とは、上記のような証拠、すなわち、公判廷外の原供述を内容とする証拠であって、原供述内容の真実性を証明するために用いられるものをいうと解する。*1

 

伝聞証拠の定義について、「事実認定をする裁判所の前での反対尋問を経ていない供述証拠」とする見解もあります(実質説)。*2この見解は、原供述に対する反対尋問の欠如を重視する立場です。

もっとも、最近では、上記の論証でも採用した形式説が多数説となっています。形式説は、反対尋問以外にも、宣誓と偽証罪による威嚇、裁判所による供述態度の観察という信用性テストがあることを前提に、これらの吟味・確認手段によってテストされていない証拠を伝聞証拠と考えるものです。*3

 

言葉による供述以外でも、意思伝達的な意味を持つ動作(特定の者を指さす行為や犯罪の状況を再現する行為など)にも、上記の理は当てはまるため、これらの行為を内容とする証拠も伝聞証拠にあたり得ることになります。

 

 

要証事実との関係

 

「原供述内容の真実性を証明するために用いられるもの」であるかどうかは、要証事実が何かによって変動します。伝聞証拠該当性を論じるときには、必ず要証事実を認定してから、その要証事実との関係で当該証拠が「原供述内容の真実性を証明するために用いられ」ているのかを検討してください。

 

立証趣旨」とは、当該証拠の取調べを請求する当事者がその証拠によって立証しようとする事実(刑訴規則189条1項、刑訴法316条の5第5号)ですが、立証趣旨がそのまま要証事実となるわけではありません。

要証事実とは、具体的な訴訟の過程でその証拠が立証するものと見ざるを得ないような事実(いわば「必然的に証明の対象とならざるを得ないような事実」)のことをいいます。*4(本ブログは、要証事実を究極的に証明されるべき事実ではなく、当該証拠から直接(不確実な推論を経ないで)認定できる直近の証明対象たる事実をいうと解すべきとする見解*5に立ちます。)

 

この要証事実の認定にあたり、立証趣旨が重要な役割を果たします。当事者主義の観点から、当事者の意思を離れて、要証事実を裁判所が自由に決定することはできないためです。

そこで、原則として当事者が示す立証趣旨に沿って要証事実が決定されることになりますが、当事者が設定した立証趣旨をそのまま前提にするとおよそ証拠としては無意味になるような例外的な場合には、裁判所がそれとは異なる要証事実を定めることができるのです。*6

 

答案では、まず、当事者の提示した立証趣旨Aを前提にして、当該訴訟における争点との関係で、Aを立証することに意味があるかどうかを検討し、意味があるときは、当事者が提示した立証趣旨通りに要証事実を認定します。一方、Aを立証することが争点との関係で無意味であり、当該証拠は、Bを立証することに用いてこそ意味があるときは、要証事実をBと決定します。*7

 

そして、決定された要証事実との関係で、当該証拠は原供述の内容たる事実を証明するために用いられているといえる場合(原供述の内容たる事実が真実であって初めて要証事実を証明できる場合)には、「原供述内容の真実性を証明するために用いられるもの」であるといえることになります。

 

 

非伝聞

 

「書面」や「他の者の供述を内容とする証拠」を「証拠とする」ように見えながら、伝聞法則の適用がない場合があります。これを一般に非伝聞といいます。伝聞・非伝聞の区別は上記のように要証事実との関係で考えます。

 

非伝聞にあたるのは、①当該証拠が公判廷外の原供述の存在自体を証明するために用いる場合と、②原供述の供述内容たる事実の真実性を証明するために用いる場合であっても、当該供述の性質から、非伝聞とされる場合の2タイプがあります。

 

①タイプとしては、供述の存在自体が直ちに主要事実となる場合(名誉棄損的発言の存在を立証する)、供述の存在自体を情況証拠として他の事実を推認に供する場合(精神異常を立証する(「俺はアンドロメダの帝王だ」という発言の例が有名ですね)、供述者が供述内容のような認識を有していたことを立証する(このときには、供述と客観的な事実が偶然とは考えにくいほど高度に一致していること(例えば、犯行計画メモと一致する犯罪の客観的事実が存在していること)が前提として必要です。一致があって初めて供述過程が問題とならず、供述の存在自体を証明することに意味があるといえるからです(客観的事実との一致がない場合には、後述の精神状態供述となります))、など)、後述の弾劾証拠として用いる場合、供述が行為と一体化している場合(他人に金品を手渡す際の「これ、プレゼント」という発言は行為と一体となって当該行為が贈与であることを示しており、発言自体が意味を持つ)があります。

 

②タイプとして、精神状態供述があります。

 

以下では、非伝聞にあたるかがよく問題となるものについて検討します。

 

領収書

 

【論証:非伝聞 領収書】

 【論証:伝聞証拠】

 本件では、検察官の立証趣旨は「領収書の存在と内容」とされている。ここで、具体的審理経過に照らせば、主たる争点は現金の授受の有無であるところ、領収書の存在と内容を立証しても意味はなく、要証事実は「AがYから現金1000万円を受領した事実」とすべきとも考えられる。

 しかし、本件では、作成された領収書が相手方に交付された事実が別途立証されているところ、領収書の存在とそれが相手方に交付された事実とから、領収書の記載内容に相当する金員授受の事実を推認することも合理的であるといえる。したがって、本件においては、争点との関係で領収書の存在自体を立証することに意味があるといえるから、要証事実は、立証趣旨通り、「領収書の存在と内容」である。

 そうだとすると、本件領収書はその内容の真実性を証明するために用いられているのではないから、非伝聞であるといえる。*8

 

領収書に記載内容の真実性から独立した証拠価値が認められるのは、上記のように、それが相手方に交付された事実が別途証明されている必要があります。

交付の事実が証明されていない場合には、通常の伝聞証拠となります。

 

 

精神状態供述

 

現在の精神状態を述べる供述を内容とする証拠(以下、精神状態供述)は、形式的にみれば伝聞証拠の定義にはあてはまります。しかし、精神状態供述については非伝聞説が通説です。どういう理屈で非伝聞とするのか、検討していきましょう。

 

【論証:非伝聞 精神状態供述】

 (伝聞証拠の定義を満たすことを簡単に認定)

 そうすると、本件供述調書は伝聞証拠にあたるとも考えられる。しかし、本件供述調書の内容である原供述は、現在の精神状態を述べる供述である。このような証拠は、発言当時の当該者の精神状態を立証するための最良の証拠といえ、証拠としての重要性・必要性が高い。一方、このような証拠は、一般の伝聞証拠とは異なり、知覚・記憶の過程を含まず、表現・叙述の信用性は伝聞証人への尋問(書面の場合は内容や記述の態様)によって相当程度明らかにできるため、誤謬の介在する危険性が低いといえる。伝聞法則の趣旨は正しい事実認定を確保する点にあるところ、このような証拠は正しい事実認定のために排除すべきでない。したがって、精神状態供述は、例外的に伝聞法則の適用がない非伝聞と解すべきである。*9

 

表現・叙述に問題があった場合には、一般的な関連性(自然的関連性)の問題として証拠能力が否定され得ます。*10

 

 

犯行計画メモ

 

犯行計画メモの伝聞証拠該当性は特に難しいところだと思います。具体的事案において要証事実が何なのか、しっかり把握して、上のような判断基準に照らして伝聞法則を適用すべき(伝聞証拠にあたる)か否かを判断していきましょう。*11

 

要証事実が「事前謀議の存在」であるとき

 

この場合には、犯行計画メモは通常通り伝聞証拠となります。犯行計画メモの内容の真実性を前提としなければ、そこに記載された事前謀議の存在は推認することはできないからです。

 

 

要証事実が「作成者の犯行の意図・計画」であるとき

 

この場合には、犯行計画メモは、精神状態供述となるので、上記のように非伝聞となります。

 

作成者の単独犯であれば、作成者の犯行の意図・計画を立証することには通常意味があるので、要証事実を「作成者の犯行の意図・計画」と認定することに特に問題はありません。

 

一方、共謀事案において、当該メモ作成者以外の者の公判で証拠として用いるときは、謀議参加者の間で何らかの共通意思が形成されたことが別の証拠によって証明されているという事情がなければ、「作成者の犯行の意図・計画」を立証することに意味がなく、要証事実を「作成者の犯行の意図・計画」とすることができないことに注意が必要です。何らかの共通意思が形成されたことが証明される場合には、作成者一人の犯罪意思を証明することによって、それと同じ内容の犯罪意思を有する謀議参加者全員について犯罪意思を推認することが可能といえるので、要証事実を「作成者の犯行の意図・計画」とすることが可能なのです。

 

ただし、メモの作成が謀議の時点から隔たっている場合にまで、知覚・記憶の過程が問題にならないといえるかは疑問である、という指摘もあります。*12作成時点が謀議と隔たっていることが問題文上明らかであれば、伝聞証拠該当性を認めてしまってもよいでしょう。

 

 

要証事実が「メモの存在と内容」であるとき

 

この場合には、メモの内容の真実性が問題とならないので、非伝聞となります。いかなる場合に要証事実を「メモの存在と内容」としてよいか、以下見ていきましょう。

 

メモが謀議の形成手段とされたとき

 

当該メモが謀議者間で回覧・確認されることによって、謀議の形成手段とされた場合(このことが別に証明されている場合)には、当該メモの存在と内容それ自体から謀議行為の存在を推認することができます。したがって、メモの内容の真実性を前提とせず、その存在と内容を立証することに意味があるといえます。

 

このときは、上記のように謀議参加者全員精神状態供述にもあたるので、どちらのアプローチで非伝聞としても問題ありません。

 

なお、回覧等されたことは、メモに謀議参加者全員の署名がある、などの事情から証明できるとしてよいと考えられます。

 

メモの記載と現実に起こった犯行の態様とが高度に一致する場合

 

偶然の一致とは考えられないような一致が見られる場合には、当該犯行が当該メモ記載の計画に則ってなされたことが推認できます。このような推認に意味があるのは、たとえば、当該メモの作成者の犯罪への関与を推認する場合、当該メモの所持者の関与を推認する場合、メモ中に記載された者の関与を推認する場合、メモ作成者と実行行為者との共謀を推認する場合、などです。

 

 

伝聞例外

 

当該供述証拠が伝聞証拠にあたる場合には、伝聞例外にあたらない限り、証拠能力が否定されます。

そこで、伝聞証拠に該当することを認定したら、伝聞例外にあたらないかを検討します。

 

321条1項3号

 

この規定が伝聞例外の一般規定です。同号の要件は、①供述不能、②不可欠性、③特信性です。

③については、2号とは異なり、絶対的特信性が必要とされています。特信性の有無は、供述内容そのものからではなく、供述時の外部的付随事情から判断すべきとする見解が有力です。*13

①について、いかなる場合が供述不能といえるのかが問題となります(この問題意識は1号から3号まで共通です)。

 

【論証:供述不能

 供述不能事由を限定列挙とする見解もあるが、そもそも供述不能の要件は証人尋問等が不可能であるために例外的に伝聞証拠を証拠として用いる必要性を基礎づけるものであるところ、かかる必要性が認められるのは法が列挙した場合には限られない。したがって、供述不能事由は例示列挙であると解すべきである。

 もっとも、あくまで例外的に証拠能力が認められ得るに過ぎないのであるから、供述不能一時的なものでは足りず、相当程度継続するものであることが必要である。また、供述不能事由を解消する見込みのある措置が存在するのにこれを行わなかった場合には、同要件を満たさないものというべきである。*14

 

後述の手続的正義の問題を同要件の問題であるとする見解もありますが、*15個人的には、後述のように証拠禁止の問題であり、要件論とは異なるレベルの問題であると理解する方がすっきりするように思います。

 

321条1項1号

 

捜査における証人尋問や証拠保全としての証人尋問の調書、他事件の公判調書などについては、供述不能または自己矛盾供述の要件を満たすだけで証拠能力が認められます。公平な第三者たる裁判官の面前でなされた供述であること、原則として宣誓の下でなされた供述であることから、特信性が類型的に担保されていると解されるためです。*16

 

 

321条1項2号

 

同号の要件は、①供述不能(、②絶対的特信性)(前段)、または、①相反性、②相対的特信性(後段)です。

 

特信性要件の要否(同号前段)

 

【論証:特信性要件の要否】

 条文上、同号前段は供述不能要件のみで証拠能力が認められるように読めるが、特信性要件は必要ではないのか。

 ここで、判例は供述不能要件のみで証拠能力を認めることも憲法37条2項に反することはなく、特信性要件は不要であるとしている。しかし、検察官は裁判官とは異なり、一方当事者にすぎず、宣誓の下で供述が行われるわけではないため、検面調書に記載された供述には裁面調書のような類型的特信性は認められない。したがって、判例のように無条件で同号前段が合憲であるということはできない。

 もっとも、同号前段は、3号後段のような絶対的特信性要件を補って解釈(合憲限定解釈)することでかろうじて合憲と解することができる。したがって、供述不能の場合であっても、絶対的特信性要件が必要である。*17

 

答案上は、判例に従って特信性要件を不要としても構わないと思います。

 

相反性

 

【論証:相反性】

 判例は、前の供述の方が詳細であるといった程度でも相反性を認めている。しかし、一方当事者でしかない検察官の面前で行われたに過ぎず、裁面調書のような類型的な特信性が認められない検面調書に証拠能力を認めるのは例外的な場面に限るべきであるから、相反性の判断は厳格に行うべきである。したがって、検面調書自体で、または他の証拠とあいまって、公判供述とは異なる事実認定をもたらす程度の相違が必要であると解する。*18

 

 

相対的特信性については、基本的に外部的付随事情から判断しますが、外部的付随事情を推知させるための一資料として供述内容を考慮することは許されると考えられます。*19

 

証人が公判で証言した後に検面調書が作成された場合は、「前の供述」といえないので、同号には該当しません。*20しかし、検面調書作成後に、再度公判で先の公判証言と同趣旨の証言をした場合、判例は「前の供述」にあたるとしています。*21判例に賛成し、二度も検面調書と異なる供述をしていることは特信性の判断において考慮すればよいとする見解もありますが、公判中心主義に反するとして「前の供述」にあたらないというべきであるとする見解も有力です。*22

 

検証調書

 

321条2項後段は、裁判所・裁判官の検証調書について無条件に証拠能力を認めています。また、321条3項は、捜査機関の検証調書について、作成者の真正供述を要件に証拠能力を認めています。

これらの条文が緩やかな要件で伝聞例外を認めるのは、①検証は中立的な性格のものを対象に、客観的な認識を行うものであること、②裁判官や捜査機関は、業務として検証を正確かつ公平に行うと考えられること、③検証内容の性質にかんがみると、証言によるよりも書面の記載による方が、より正確かつ詳細な情報を得られること、などが理由です。*23

②の点について、捜査機関は一方当事者であるから、裁判官と比較すると正確性への期待が一段落ちることになります。それゆえ、3項は真正供述を要件として2項後段よりは要件を厳しくしたと理解しておけばよいでしょう。

真正供述とは、作成名義の真正の点のほか、記載内容の正確性及び検証内容の正確性についても供述することを意味すると解されています。*24

 

実況見分調書

 

実況見分調書についても3項の適用があるかは争いがあります。

 

【論証:実況見分調書】

 そもそも、321条3項が検証調書について緩やかに伝聞例外該当性を認めているのは、①検証は中立的な性格のものを対象に、客観的な認識を行うものであること、②裁判官や捜査機関は、業務として検証を正確かつ公平に行うと考えられること、③検証内容の性質にかんがみると、証言によるよりも書面の記載による方が、より正確かつ詳細な情報を得られること、からである。そして、検証と実況見分は、強制捜査として行われるか任意捜査として行われるかが異なるだけであり、両処分の実質は異ならない。そうだとすると、実況見分調書についても上記①~③の根拠はあてはまるといえる。

 したがって、実況見分調書も321条3項にいう「検証」に含まれ、同項の適用があると解する。*25

 

 

また、判例は、私人による実験結果報告書面について同項の準用を否定しました。もっとも、同判例は、当該書面について後述するように4項の準用を肯定しています。*26

 

 

現場指示と現場供述

 

検証調書については、現場指示と現場供述という、理解が必要な問題があります。

検証調書に、検証に立ち会った者が検証現場で述べた供述が記載されている場合、当該供述部分に証拠能力が認められるか否かという問題です。論証を展開するというよりは、適宜現場指示にとどまるのか、現場供述に至っているのかを認定するようにするとよいと思います。

 

立会人の供述が、検証を行った動機を示すために記載されている場合、立会人がそのような指示、説明をしたという事実を示すために用いられる(内容の真実性が問題とならない)ので、検証調書と一体のものとして、321条3項の要件を満たすだけで当該部分についても証拠能力が認められます。このような場合の立会人の供述を現場指示(指示説明)といいます。

 

一方、立会人の供述内容たる事実の真実性を証明する目的で用いる場合には、この調書(の立会人供述部分)は立会人の供述録取書に等しく、立会人の署名押印があり、かつ321条1項2号または3号の要件を満たすのでなければ証拠能力が認められません。このような場合の立会人の供述を現場供述といいます。

 

再伝聞の場合には署名押印が不要であることと混同しないようにしてください。現場供述の場合は、再伝聞ではなく、立会人の「供述録取書」そのものとみることができる、ということなので、後述のように324条類推適用を挟むことなく、直接321条1項柱書、2項ないし3号の適用があるのです(再伝聞の場合には321条1項2号ないし3号のみ適用があり、柱書の適用はない)。

 

 

鑑定調書

 

鑑定人の鑑定書についても、3項と同様の要件で証拠能力が認められます(321条4項)。要件が緩和されている理由は3項と同様です。

 

ここでは、鑑定受託者が作成した鑑定書に同項が適用ないし準用されるかが問題となります。

 

【論証:鑑定受託者作成の鑑定書】

 鑑定受託者による鑑定は、裁判所・裁判官の鑑定命令に基づくものではないから、鑑定人の鑑定とは同列に論じることはできないとして、鑑定受託者作成の鑑定書については321条4項の適用ないし準用は認められないとする見解もある。しかし、鑑定人作成の鑑定書について緩やかな要件で伝聞例外該当性が認められるのは、、①鑑定は中立的な性格のものを対象に、客観的な認識を行うものであること、②専門家が業務として鑑定を正確かつ公平に行うと考えられること、③鑑定内容の性質にかんがみると、証言によるよりも書面の記載による方が、より正確かつ詳細な情報を得られること、からであるところ、鑑定受託者による鑑定についても上記の①~③の根拠はあてはまる。したがって、同項の適用(準用)を認めるべきである。*27

 

判例は「準用」としていますが、「適用」か「準用」かはどちらでも構わないと思います。

 

 

再伝聞

 

Aが公判廷外で「事件当夜、XがV宅前をうろついているのを見た」と話すのを聞いたBが、A供述の内容を検察官に対して述べた供述を録取した書面(Bの署名押印がある)について、証拠能力が認められるでしょうか。

このような、公判廷での証人尋問手続によって吟味されない供述過程を2つ以上含む証拠を再伝聞といいます。*28

 

【論証:再伝聞】

 再伝聞証拠については、およそ証拠能力は認められないとする見解もあるが、単純な信用性の情況的保障と証拠としての必要性が認められれば伝聞例外が認められるところ、再伝聞についても、伝聞過程それぞれについて伝聞例外の要件が備わっているならば、同様に信用性の情況的保障と証拠としての必要性が認められるといえるから、このような場合には証拠能力が認められると解すべきである。すなわち、伝聞証拠について例外的に証拠とすることができる場合には、当該書面が公判期日における供述に代わることになるので(320条1項)、当該供述に含まれている伝聞部分には324条が類推適用されることになる。

 したがって、本件供述については、X調書が321条1項2号の要件を満たし、Y供述部分が324条2項(類推適用)の準用する321条1項3号(324条1項類推適用の場合は322条)の要件を満たせば証拠能力が認められる。*29

 

学説では、供述当時に反対尋問の機会が与えられていないことを重視して再伝聞の証拠能力を否定する見解*30や、現行法は供述録取書について原供述者の署名押印により単純伝聞である供述書と同列に置いているのであり、それ以外の再伝聞の証拠能力を認めていないと捉えるべきであるとする見解*31、調書全体が321条1項2号の要件をクリアした段階で証拠能力が付与されたのは再伝聞以外の部分のみであることから324条類推適用を否定し、再伝聞の証拠能力を否定する見解*32も有力です。また、署名押印を欠く点につき、原供述者のいわゆる工程確認のある場合に限って324条の類推適用を認める見解もあります。*33

もっとも、受験生はほぼ全員上記判例で書いてくると思われるので、答案上は判例に従ってよいのではないでしょうか。

 

 

同意

 

326条1項は同意書面について、相当性が認められる場合には321条~325条の規定にかかわらず証拠とすることができる、と定めています。同意がない場合にのみ伝聞法則の適用を受けることから、答案では、伝聞証拠について書くときはまず同意がないことを一言認定するとよいでしょう。

 

同条の同意の性質については争いがあります。

 

【論証:同意の性質】

 ここで、326条1項の同意は反対尋問権の放棄であるとする見解もある。しかし、反対尋問が考えられない被告人の供述調書等も同意の対象とされているため、同意を反対尋問権の放棄ということでは説明しきれない。そこで、同項の同意は、当事者が当該書面に証拠能力を付与する積極的な訴訟行為であると解すべきである。

 もっとも、公益的見地からの証拠禁止により証拠とすることが禁じられるものについてまで証拠能力を付与する権限を当事者に認めることはできない。したがって、同項の同意は伝聞法則の適用を解除するという意味に限っての証拠能力付与であると解する。*34

 

学説上は反対尋問権放棄説が有力ですが、実務は証拠能力付与説に則って運用されているので、証拠能力付与説でよいと思います。

 

 

同意権者は検察官及び被告人ですが、弁護人も包括的代理権に基づいて同意を行うことができます。もっとも、同意権者ではないため、被告人の意思に反することはできません。

 

判例は、被告人が否認していたのに弁護人が公訴事実を全部認め、検察官請求書面全てに同意した場合には、弁護人の同意のみをもって被告人が同意したものとはいえない、としています。*35

 

被告人も弁護人も否認で主張は一致していたが、弁護人が検察官請求書面全てに同意した場合には、必ずしも同意が有効とはいえません。*36このときは、被告人の否認の態様、その証拠の性質・内容、弁護人の応訴態度、訴訟の経過などを総合的に判断して同意の有効性を決定することになります。*37

このようなとき、裁判所としては、早期に被告人の意思を確認する義務があります。*38

 

 

弾劾証拠

問題文において「検察官が証明力を争うために」証拠を提出しているとされている場合には、320条の伝聞証拠該当性、321条~324条の伝聞例外該当性を検討する必要はありません。いきなり328条該当性を検討すべきです。仮に321条~324条のいずれかにあたる場合であっても、当事者が実質証拠ではなくて328条により補助証拠として取調べを請求した以上、裁判所としては、328条の要件を充足すれば、同条により、補助証拠としてかかる証拠を採用すべきと考えられます。*39

 

 

他者矛盾供述

 

328条によって証拠とすることができるのが、自己矛盾供述に限られるか否かが論点となります。

 

【論証:弾劾証拠 他者矛盾供述】

 328条によって許容される証拠が同一人による自己矛盾供述に限られるか。

 たしかに、同条の文言及び条文の位置からすれば、同条は伝聞例外の一種と解すべきであり、他者矛盾供述も同条により許容されうるとも考えられる。

 しかし、伝聞法則の趣旨は、供述証拠には人間の知覚、記憶、表現、叙述のプロセスが存し、各プロセスに誤りの介入のおそれがあるために反対尋問(憲法37条2項)等によるチェックを経る必要があるにもかかわらず、公判廷外の供述については反対尋問等のチェックにより証拠の信用性を吟味し内容の真実性を担保することができないために、かかる証拠(伝聞証拠)については証拠能力を否定して正しい事実認定を確保する点にある。

 そして、他者矛盾供述はその内容の真実性を前提としない限り、信用性を減殺することはできないのであるから、328条により他者矛盾供述を許容することになると、必然的にその内容たる事実が裁判官の心証上で認められ、実質証拠として機能してしまうことになり、上記伝聞法則の趣旨を骨抜きにしてしまう。

 また、同条は、伝聞例外の規定ではなく、その存在自体を証明することにより信用性を減殺できる、すなわち非伝聞である自己矛盾供述を証拠として許容することを注意的に規定したものと解すべきである。

 したがって、他者矛盾供述を同条によって証拠として採用することはできず、同条により許容されるのは同一人による自己矛盾供述に限られる。*40

 

 

署名押印

 

同一人の自己矛盾供述であったとしても、署名押印がない場合にも証拠能力が認められるのかが問題となります。これは、補助証拠にも厳格な証明が必要か否か、という論点のバリエーションであることに注意が必要です。

 

【論証:弾劾証拠 署名押印】

 もっとも、本件供述録取書には甲の署名、押印がない。かかる場合でも本件供述録取書を証拠として採用することができるか。

 本件供述録取書の内容たる事実は甲の証言の証明力を減殺する補助事実である。そして、補助事実は刑罰権の存否及びその範囲に直接関係する事実ではないものの、弾劾の対象となる証拠が厳格な証明を要する事実に関するものである場合には、補助事実は刑罰権の存否及びその範囲に大きな影響を与えるのであるから、厳格な証明が必要と解する。

 したがって、本件供述録取書についても刑訴法の定める要件を満たすことが必要となる。

 そして、本件供述録取書には甲の供述過程及びKの供述過程という二重の伝聞性があるところ、328条により伝聞性が払拭されるのは甲の供述過程のみであるから、甲の署名、押印がない以上Kの供述過程の伝聞性はいまだ残存しており、本件供述録取書に証拠能力は認められない(320条1項)。

 よって、本件供述録取書を328条によって証拠として採用することはできない。*41

 

 

増強証拠・回復証拠

 

【論証:弾劾証拠 増強証拠】

 328条により増強証拠も証拠として採用することができるか。同条の「証明力を争う」に増強も含まれるかが問題となる。

 ここで、増強は「証明力を争う」の文言の語義にかなわない。また、証明力の増強のためには、内容の真実性を前提にしないと意味がないところ、増強を認めると結局実質証拠として機能してしまい、伝聞法則を潜脱することとなる。

 したがって、「証明力を争う」には増強は含まれないと解する。

 よって、増強証拠を同条によって採用することはできない。*42

 

 

【論証:弾劾証拠 回復証拠】

 328条により回復証拠も証拠として採用することができるか。同条の「証明力を争う」に回復も含まれるかが問題となる。

 ここで、回復は「弾劾に対する弾劾」であるから「証明力を争う」という文言の語義にも合致し、自己矛盾供述の自己矛盾供述(自己一致供述)を別の機会にしたことを立証することにより、供述の内容の真実性を前提とせずに証明力を回復することはできるから、回復証拠は一般に同条により証拠とすることができるという見解もある。*43

 しかし、弾劾証拠としての自己矛盾供述は信用性を前提としない非供述証拠であるから、それを弾劾することに意味はない。また、別の機会に法廷供述と一致する供述をしたからといって、供述者の信頼性が回復するといえるかは疑問である。

 したがって、一般的に同条により回復証拠を証拠として採用することができるとはいえない。

 もっとも、利害関係による弾劾に対する自己一致供述による回復の場合には、一致供述の真実性を前提とせずに、証明力を回復することができる。したがって、回復証拠については、このような場合に限って同条により証拠とすることができると解する。*44

 

「別の機会に法廷供述と一致する供述をしたからといって、供述者の信頼性が回復するといえるかは疑問」というのは、「むしろかえって、しばしば発言を変える人だという推論をもたらすかもしれない」からです。*45

「利害関係による弾劾に対する自己一致供述による回復」とは、たとえば、「被告人が犯人である」とする甲の公判廷の証言が「証人甲は証言直前に被告人と喧嘩をした」との乙の証言により減殺された場合に、事件直後(喧嘩の前)に甲がした「被告人が犯人である」との供述(自己一致供述)を、喧嘩と証言との因果関係を否定するために用いる場合のことをいいます。*46

 

 

自己矛盾供述の時期

 

公判廷における証言よりも後になされた自己矛盾供述で証言を弾劾することは、検察官による濫用のおそれがあることなどから許されないのではないか、という問題意識があります。

 

【論証:自己矛盾供述の時期】

 公判廷における証言よりも後になされた自己矛盾供述を328条によって証拠とすることが許されるか。

 ここで、検察官面前調書については321条1項2号後段が明文で「前の供述」に限定しているのに対し、328条にはこのような文言はない。また、憲法37条2項の証人審問権の保障は補助事実にまでは及ばないため、自己矛盾供述が公判廷での証言に先行することを求める必要はない。さらに、自己矛盾供述の存在自体は非伝聞であるから、自己矛盾供述の時期を限定する理由はない。

 したがって、公判廷における証言後に作成されたものでも許容されると解する。*47

 

学説では否定説が多数のようです。否定説は、検察官にとって不利な証言後に法廷外で証人を取り調べて有利な供述を引き出し、これを弾劾証拠として利用するのは、公判中心主義や当事者対等の原則に反することを理由としています。*48こちらの説をとるのもよいと思います。

 

 

写真

 

写真や録音媒体、録画媒体について、伝聞法則の適用があるかが問題となります。

 

現場写真・録音・録画

 

【論証:現場写真】

 写真の撮影・現像・保存・プリント等は、人間の心理プロセスを経ずに機械的行われるものであり、供述過程とは質的に異なるから、現場写真については、非供述証拠と解すべきであり、かく解すれば、現場写真について伝聞法則が適用される余地はない。

 なお、作成過程に誤謬が入り込む危険は否定できないが、その危険は供述過程におけるそれとは質的に異なり、証拠の自然的関連性一般の問題として対処すれば足りる。*49

 

 

供述録音・録画

 

供述録音・録画については、供述者の供述過程が問題になることは疑いがないため、当然に供述証拠にあたり、伝聞法則が適用されます。

もっとも、321条1項柱書、322条1項で要求される署名押印については、録音・録画自体が機械的に行われるものであり、録取者の供述過程に準じる過程を見出す余地はないため、不要であるとするのが通説です。*50

 

 

犯行再現写真・ビデオ

 

【論証:犯行再現写真】

 【論証:伝聞証拠】

 撮影・記録されているのが専ら再現を行う動作であっても、それは再現者の動作による供述といえるから、犯行再現写真は供述証拠にあたる。そして、当該写真を、再現通りの犯罪が実際に行われたことを証明するために用いる場合には、動作による供述の内容の真実性が問題となるから、伝聞証拠にあたることになる。

 もっとも、撮影等自体は機械的に行われており、録取者の供述過程に準じる過程を見出す余地はないことから、再現者の署名押印(321条1項柱書)は不要である。

 一方、当該写真が、再現の状況自体を証明するために用いる場合には、動作による供述の内容の真実性は問題とならず、非伝聞となる(検証調書などの場合には、当該調書と一体のものとして、調書の証拠能力の有無に従う)。*51

 

 

手続的正義

 

証拠請求をすることが手続的正義の観点から公正さを欠く場合には、証拠能力が否定されることがあります。

 

【論証:手続的正義】

 【論証:伝聞証拠】

 【論証:伝聞例外】

 以上より、本件検面調書は321条1項2号の伝聞例外の要件を満たすため、本件検面調書には証拠能力が認められそうである。

 もっとも、憲法37条2項の証人審問権の趣旨に照らし、入管当局の退去強制により国外にいることとなった場合においては、検察官において当該外国人がいずれ国外に退去させられ公判準備または公判期日に供述することができなくなることを認識しながら殊更そのような事態を利用した場合はもちろん、当該外国人について証人尋問の決定がされているにもかかわらず、強制送還が行われた場合など、手続的正義の観点から公正さを欠くと認められるときは、当該検面調書に証拠能力が認められないこともありうる。*52

 

上記の判例があげた例はあくまで例示です。具体的に、手続的正義の観点から公正さを欠くといえるかは、当該外国人の収容の理由・時期強制送還の態様・時期証人尋問請求の時期証人尋問決定の時期関係機関の連絡・調整状況など総合的判断によって利益衡量を行った上で決します。*53

 

 

手続的正義の問題を、321条1項2号の「国外」要件との関係で理解する見解*54や、「供述不能」要件に新しい要件を付加したと解する見解*55、「手続的正義」という書かれざる要件を読み込む見解*56もありますが、手続的正義が問題となるのは伝聞例外の場合に限られないため、上記のように一般的な証拠の許容性の問題として捉えるのが妥当かと思います。

そのように解すると、上記の論証のように伝聞例外には該当するものの、証拠能力が否定される、という流れになることに注意が必要です。

 

*1:古江p.321~325、リークエp.370~374、田宮裕「証明力を争う証拠」同『刑事訴訟とデュー・プロセス』(有斐閣、1972年)p.346,348、堀江慎司「伝聞証拠の意義」新・刑訴法の争点p.166

*2:平野龍一刑事訴訟法』(有斐閣、1958年)p.203,205、田口守一『刑事訴訟法[第6版]』(弘文堂、2012年)p.396

*3:古江p.322

*4:三好幹夫「伝聞法則の適用」証拠法の諸問題(上)p.67

*5:古江p.332

*6:最決平成17年9月27日〈百選83〉、古江p.334,335、芦澤政治・最判解刑事篇平成17年度p.346、川出敏裕「演習」法学教室389号(2013年)p.152、前掲三好p.67

*7:古江p.335、前掲川出p.152、新司法試験平成21年出題趣旨参照

*8:古江p.338~341、前掲三好p.73、戸倉三郎「供述又は書面の非供述証拠的使用と伝聞法則」自由と正義51巻1号(2000年)p.91、酒巻匡「伝聞証拠をめぐる諸問題⑶」法学教室306号(2006年)p.64、大澤裕「伝聞証拠の意義」刑訴法の争点[第3版]p.183

*9:古江p.325~327、前掲大澤p.184、酒巻匡「被告人以外の者の供述(その1)」法学教室391号(2013年)p.75

*10:古江p.328,329、平野龍一「伝聞排斥の法理」同『訴因と証拠(刑事法研究⑷)』(有斐閣、1981年)p.225、前掲田宮p.373、前掲大澤p.184

*11:以下、古江p.345~347、リークエp.384,385

*12:リークエp.385

*13:リークエp.389

*14:最判昭和27年4月9日、リークエp.392

*15:リークエp.392

*16:リークエp.390

*17:最判昭和36年3月9日、リークエp.393

*18:最決昭和32年9月30日、リークエp.394

*19:リークエp.394

*20:東京高判昭和31年12月15日

*21:最決昭和58年6月30日

*22:リークエp.395

*23:リークエp.396

*24:リークエp.397

*25:最判昭和35年9月8日、リークエp.397

*26:最決平成20年8月27日〈百選84〉

*27:最判昭和28年10月15日、リークエp.398,399

*28:リークエp.404

*29:最判昭和32年1月22日〈百選88〉、中川孝博・百選88解説、リークエp.404,405、前掲平野p.225、古江p.366~369

*30:佐伯千仭『法曹と人権感覚』(法律文化社、1970年)p.70参照

*31:繁田實造・百選[第6版]p.172、白取祐司『刑事訴訟法[第8版]』(日本評論社、2015年)p.431等参照

*32:前掲中川百選解説

*33:鈴木茂嗣・注解刑訴法(中)p.733

*34:最判昭和36年6月7日、リークエp.406,407、河上和雄ほか編『大コンメンタール刑事訴訟法第7巻[第2版]』(青林書院、2012年)p.724,725

*35:最判昭和27年12月19日

*36:阪高裁平成8年11月27日〈百選86〉

*37:福島至・百選86解説、石井一正『刑事実務証拠法[第5版]』(判例タイムズ社、2011年)p.95

*38:前掲福島百選解説、長岡哲次「被告人の応訴態度と法326条の同意」大阪刑事実務研究会編著『刑事証拠法の諸問題(上)』(判例タイムズ社、2001年)p.89参照

*39:東京高判昭和26年6月7日、平成20年度旧司法試験第二次試験論文式出題趣旨参照、古江p.385,386、伊藤栄樹ほか『注釈刑事訴訟法第5巻[新版]』(立花書房、1998年)p.376(香城敏麿)参照

*40:最判平成18年11月7日〈百選87〉、古江p.373~378、芦澤政治・最判解刑事篇平成18年度p.406、成瀬剛「刑訴法328条により許容される証拠」ジュリスト1380号(2009年)p.137、前掲平野p.252

*41:前掲最決平成18年11月7日、古江p.378,379、前掲芦澤p.415、前掲成瀬p.139、前掲平野p.254

*42:阪高判平成2年10月9日、古江p.380,381、後藤昭「供述の証明力を争うための証拠」『三井誠先生古稀祝賀論文集』(有斐閣、2012年)p.673

*43:前掲田宮p.345

*44:後藤昭=白取祐司編『新・コンメンタール刑事訴訟法[第2版]』(日本評論社、2013年)p.899、前掲平野p.253、前掲後藤p.670、上口裕『刑事訴訟法[第3版]』(成文堂、2012年)p.469、宇藤崇「328条の意義」刑訴法の争点[第3版]p.193、古江p.382,383

*45:前掲コンメp.899、これに対して、光藤景皎「証明力の増強」熊谷弘ほか編『証拠法大系Ⅲ』(日本評論社、1970年)p.384は、希薄であっても証明力の回復になにがしかの効力はある、としています。

*46:古江p.382

*47:最判昭和43年10月25日、前掲石井p.226、石丸俊彦ほか『刑事訴訟の実務(下)[3訂版]』(新日本法規出版、2011年)p.303(石丸俊彦・服部悟)、河上和雄ほか編『大コンメンタール刑事訴訟法第7巻[第2版]』(青林書院、2012年)p.773

*48:鈴木・前掲注解刑訴法(中)p.798、松尾浩也刑事訴訟法(下)[新版補正第2版]』(弘文堂、1999年)p.76など

*49:最決昭和59年12月21日〈百選89〉、リークエp.412,413

*50:リークエp.414

*51:最決平成17年9月27日〈百選83〉、リークエp.414,415

*52:最判平成7年6月20日〈百選81〉、古江p.349~355、三井誠・百選[第7版]p.184

*53:古江p.356,357、池田耕平・最判解刑事篇平成7年度p.256

*54:加藤克佳・法学教室183号(1995年)p.89

*55:前掲田口p.407

*56:前掲田宮p.380