司法試験・予備試験実践論証

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刑法総論

【目次】刑法総論

1 構成要件 ⑴ 実行行為 ⑵ 因果関係 ⑶ 構成要件的故意 ⑷ 過失 2 違法性 ⑴ 正当防衛 ⑵ 緊急避難・その他の違法性阻却事由 3 責任 4 未遂 5 共犯 ⑴ 共同正犯 ⑵ 教唆犯・幇助犯 ⑶ 共犯の諸問題 1 構成要件 ⑴ 実行行為 shihouyobi.hatenablog.com ⑵ 因果関係 shih…

【論証】刑法総論5共犯⑶共犯の諸問題

共犯における問題として、身分が必要とされる犯罪について身分のない者が関与した場合(身分犯と共犯)、共犯者間に認識の齟齬がある場合(共犯と錯誤)、実行行為の一部にのみ関与した者の罪責(承継的共犯)、共犯関係が解消される場合(共犯関係の解消)…

【論証】刑法総論5共犯⑵教唆犯・幇助犯

教唆犯 ①教唆 ②①に基づく実行行為 ③故意 幇助犯 ①幇助 ②①に基づく実行行為 ③故意 教唆犯 教唆犯の成立には①教唆②①に基づく実行行為③故意が必要です。 ①教唆 教唆とは、他人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせることをいいます。方法・手段を問わず、黙示…

【論証】刑法総論5共犯⑴共同正犯

共犯 共同正犯 共謀共同正犯の成否 共同正犯の成立要件 共謀の射程 共同正犯の違法・責任の連帯 過失犯の共同正犯 結果的加重犯の共同正犯 予備罪の共同正犯 片面的共同正犯 共犯 共同正犯の各論点について検討する前提として、共犯の処罰根拠、及び共犯の従…

【論証】刑法総論4未遂

未遂で問題となるのは、主に実行の着手(43条本文)が認められるか、中止犯が成立するか、不能犯との区別といった点です。 実行の着手 離隔犯 間接正犯の実行の着手 中止犯 「中止した」(中止行為) 不作為による中止 作為による中止 中止行為の因果関係 「…

【論証】刑法総論3責任

現在の通説は、責任とは他行為可能性・意思の自由を基礎とした非難可能性であると考えています。*1 そして、責任の要素として、責任能力、責任故意・過失、違法性の意識の可能性、期待可能性を上げることができます(違法性の意識の可能性を責任故意の要素で…

【論証】刑法総論2違法性⑵緊急避難・その他の違法性阻却事由

緊急避難については、大部分正当防衛と同様の議論が当てはまります(「現在の危難」は侵害の急迫性と同様ですし、「避難の意思」は「防衛の意思」と同様です)。 もっとも、緊急避難に特有の、あるいは論じ方が正当防衛とは異なる論点として、強要による緊急…

【論証】刑法総論1構成要件⑷過失

過失犯については、「過失」を結果発生を予見できたにもかかわらず予見しなかったこととする旧過失論と予見義務違反に加えて結果回避義務違反をも過失の要件とする新過失論が対立しています。 旧過失論に立つと過失は主観的要素であり、責任要素であると理解…

【論証】刑法総論2違法性⑴正当防衛

正当防衛の要件は、①侵害の急迫性②侵害の不正性(①②は「急迫不正の侵害」にあたるかの要件)③反撃行為性(「…に対して」)④自己又は他人の権利を防衛する行為であること(「自己又は他人の権利を防衛するため」)⑤防衛行為としての正当性(「やむを得ずにし…

【論証】刑法総論1構成要件⑶構成要件的故意Ⅱ

ここでは、前回の記事で扱った、具体的事実の錯誤、因果関係の錯誤、抽象的事実の錯誤を前提として、遅すぎた構成要件の実現、早すぎた構成要件の実現(実行の着手の問題ですが、故意が絡んでくるため、ここでも紹介します)について検討します。 前回の記事…

【論証】刑法総論1構成要件⑶構成要件的故意Ⅰ

構成要件的故意とは、客観的構成要件要素に該当する事実の認識・認容をいいます。 構成要件的故意のところで生じる問題として、まず規範的構成要件要素の認識、認識事実と実現事実との錯誤(具体的事実の錯誤、因果関係の錯誤、抽象的事実の錯誤)を検討しま…

【論証】刑法総論1構成要件⑵因果関係

因果関係については、判例の因果関係の判断方法を押さえることが大事です。特に不作為犯の因果関係が問題となり得ます。 因果関係(基本的な論証) 危険の現実化説のあてはめ 不作為犯の因果関係 因果関係(基本的な論証) 因果関係は基礎事情を限定する折衷…

【論証】刑法総論1構成要件⑴実行行為

実行行為とは、特定の構成要件に該当する、構成要件的結果発生の現実的危険を有する行為をいいます。 実行行為のところで主に問題になるのは間接正犯(論証としては正犯性の有無として書く)と不作為犯についてです。 間接正犯 不作為犯 間接正犯 間接正犯は…