司法試験・予備試験実践論証

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2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【論証】刑法総論5共犯⑶共犯の諸問題

共犯における問題として、身分が必要とされる犯罪について身分のない者が関与した場合(身分犯と共犯)、共犯者間に認識の齟齬がある場合(共犯と錯誤)、実行行為の一部にのみ関与した者の罪責(承継的共犯)、共犯関係が解消される場合(共犯関係の解消)…

【論証】刑法総論5共犯⑵教唆犯・幇助犯

教唆犯 ①教唆 ②①に基づく実行行為 ③故意 幇助犯 ①幇助 ②①に基づく実行行為 ③故意 教唆犯 教唆犯の成立には①教唆②①に基づく実行行為③故意が必要です。 ①教唆 教唆とは、他人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせることをいいます。方法・手段を問わず、黙示…

【論証】刑法総論5共犯⑴共同正犯

共犯 共同正犯 共謀共同正犯の成否 共同正犯の成立要件 共謀の射程 共同正犯の違法・責任の連帯 過失犯の共同正犯 結果的加重犯の共同正犯 予備罪の共同正犯 片面的共同正犯 共犯 共同正犯の各論点について検討する前提として、共犯の処罰根拠、及び共犯の従…

【論証】刑法総論4未遂

未遂で問題となるのは、主に実行の着手(43条本文)が認められるか、中止犯が成立するか、不能犯との区別といった点です。 実行の着手 離隔犯 間接正犯の実行の着手 中止犯 「中止した」(中止行為) 不作為による中止 作為による中止 中止行為の因果関係 「…

【論証】刑法総論3責任

現在の通説は、責任とは他行為可能性・意思の自由を基礎とした非難可能性であると考えています。*1 そして、責任の要素として、責任能力、責任故意・過失、違法性の意識の可能性、期待可能性を上げることができます(違法性の意識の可能性を責任故意の要素で…

【論証】刑法総論2違法性⑵緊急避難・その他の違法性阻却事由

緊急避難については、大部分正当防衛と同様の議論が当てはまります(「現在の危難」は侵害の急迫性と同様ですし、「避難の意思」は「防衛の意思」と同様です)。 もっとも、緊急避難に特有の、あるいは論じ方が正当防衛とは異なる論点として、強要による緊急…

要件事実6相続・詐害行為取消・不当利得

相続 詐害行為取消 抗弁 不当利得返還請求 給付型 侵害型 相続 要件事実(相続による権利取得を主張) ① 被相続人の死亡 ② 相続人であることを基礎づける事実 他に相続人がいることは単独相続人が争う相手方が主張・立証すべき(非のみ説)。 記載(時効取得…

要件事実5請負・債権譲渡

請負契約に基づく請求 抗弁 債権譲渡に関する請求 債権譲渡 抗弁 準占有者に対する弁済(抗弁) 請負契約に基づく請求 請求の趣旨 被告は、原告に対し、100万円を支払え。 訴訟物 請負契約に基づく報酬請求権 請求原因 ① 請負契約の締結 ② 仕事の完成 仕事の…

要件事実4代理・履行遅滞に基づく損害賠償・債権者代位・保証・準消費貸借

代理に関する請求 有権代理 表見代理 代理権授与表示による表見代理 抗弁 権限外の行為の表見代理 代理権消滅後の表見代理 抗弁 無権代理人に対する請求 抗弁 履行遅滞に基づく損害賠償請求 一般的な要件事実 原債権が売買代金債権の場合の要件事実 債権者代…

要件事実3賃貸借・動産

賃貸借契約に関する請求 賃料請求 抗弁 土地明渡請求 抗弁 建物収去土地明渡請求 抗弁 建物明渡請求 抗弁 敷金返還請求 動産引渡請求訴訟 動産引渡請求 抗弁 代償請求 賃貸借契約に関する請求 賃料請求 請求の趣旨 被告は、原告に対し、15万円(及びこれに対…

要件事実2所有権に基づく土地明渡請求・不動産登記手続請求

所有権に基づく不動産明渡請求訴訟 土地明渡請求 抗弁 建物収去土地明渡請求 抗弁 建物退去土地明渡請求 抗弁 不動産登記手続請求訴訟 所有権移転登記抹消登記手続請求 抗弁 所有権移転登記手続請求 抵当権設定登記抹消登記手続請求 抗弁 所有権に基づく不動…

要件事実1売買・貸金

要件事実は、現段階では現行法に対応したものになっています。 売買契約に基づく代金支払請求訴訟 売買代金支払請求 記載 抗弁 消滅時効の抗弁 履行期限の抗弁 同時履行の抗弁 相殺の抗弁 代物弁済の抗弁 民法総則に関する抗弁 債務不履行解除の抗弁 瑕疵担…

憲法 選挙 権利の論理と制度の論理

選挙にかかわる憲法問題として、①選挙権(の行使の機会)の制限、②選挙運動の制限、③投票価値の平等などがあげられます。 選挙権にかかわる問題では、権利の論理と制度の論理が対立します。 権利の論理とは、通常の自由権のような審査方法をとるべきとする論…

【論証】刑法総論1構成要件⑷過失

過失犯については、「過失」を結果発生を予見できたにもかかわらず予見しなかったこととする旧過失論と予見義務違反に加えて結果回避義務違反をも過失の要件とする新過失論が対立しています。 旧過失論に立つと過失は主観的要素であり、責任要素であると理解…

【論証】刑法総論2違法性⑴正当防衛

正当防衛の要件は、①侵害の急迫性②侵害の不正性(①②は「急迫不正の侵害」にあたるかの要件)③反撃行為性(「…に対して」)④自己又は他人の権利を防衛する行為であること(「自己又は他人の権利を防衛するため」)⑤防衛行為としての正当性(「やむを得ずにし…

【論証】会社法3株式⑴総則Ⅱ-株主平等原則・利益供与の禁止-

株式総則の部分で重要な論点として、株主平等原則(109条1項)と利益供与の禁止(120条)があります。 株主平等原則 株主平等原則の基本 株主平等原則の例外 利益供与の禁止 利益供与の禁止の基本 「株主の権利の行使に関し」要件―株式譲渡― 例外的に許容さ…

【論証】会社法3株式⑴総則Ⅰ-株式の共有-

株式の共有(正確には準共有(民法264条)ですが、会社法も「共有」としている(106条参照)ので「共有」で構いません。)については、権利行使者(106条本文)の指定方法、会社の同意(106条但書)、共有株主の原告適格、権利行使者による議決権の不統一行…

【論証】刑法総論1構成要件⑶構成要件的故意Ⅱ

ここでは、前回の記事で扱った、具体的事実の錯誤、因果関係の錯誤、抽象的事実の錯誤を前提として、遅すぎた構成要件の実現、早すぎた構成要件の実現(実行の着手の問題ですが、故意が絡んでくるため、ここでも紹介します)について検討します。 前回の記事…

【論証】刑法総論1構成要件⑶構成要件的故意Ⅰ

構成要件的故意とは、客観的構成要件要素に該当する事実の認識・認容をいいます。 構成要件的故意のところで生じる問題として、まず規範的構成要件要素の認識、認識事実と実現事実との錯誤(具体的事実の錯誤、因果関係の錯誤、抽象的事実の錯誤)を検討しま…

使用基本書・演習書・参考文献

私が受験にあたって、また、論証作成にあたって主に使用した基本書、演習書などを紹介します。〈〉内は本ブログでの略称です。 憲法 基本書・判例集 演習書 行政法 基本書・判例集 演習書 民法 基本書・判例集 演習書 商法 基本書・判例集 演習書 民事訴訟法…

【論証】刑法総論1構成要件⑵因果関係

因果関係については、判例の因果関係の判断方法を押さえることが大事です。特に不作為犯の因果関係が問題となり得ます。 因果関係(基本的な論証) 危険の現実化説のあてはめ 不作為犯の因果関係 因果関係(基本的な論証) 因果関係は基礎事情を限定する折衷…

【論証】刑法総論1構成要件⑴実行行為

実行行為とは、特定の構成要件に該当する、構成要件的結果発生の現実的危険を有する行為をいいます。 実行行為のところで主に問題になるのは間接正犯(論証としては正犯性の有無として書く)と不作為犯についてです。 間接正犯 不作為犯 間接正犯 間接正犯は…