要件事実6相続・詐害行為取消・不当利得
相続
要件事実(相続による権利取得を主張)
① 被相続人の死亡
② 相続人であることを基礎づける事実
他に相続人がいることは単独相続人が争う相手方が主張・立証すべき(非のみ説)。
記載(時効取得を取得原因とする所有権移転登記移転登記手続請求)
Aは、平成3年5月1日、甲土地を占有していた。
Aは、平成22年6月6日死亡した。
Aは②の当時、甲土地を占有していた。
XはAの子である。
Xは平成23年5月1日経過時、甲土地を占有していた。
Xは、平成24年7月1日、Yに対し、取得時効を援用する旨の意思表示をした。
甲土地についてY名義の所有権移転登記が存在する。
平成3年5月1日のA占有と平成23年5月1日のX占有の事実だけでは占有者が違うため、民法186条2項の推定を受けられない。そこでA死亡時にAが甲土地を占有していた事実の主張が必要。
詐害行為取消
請求の趣旨
AとYが平成24年10月10日に甲土地についてした売買契約を取り消す。
Yは、甲土地について別紙登記目録記載の所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。
訴訟物
詐害行為取消権
請求原因
① 被保全債権の発生原因事実
② 債務者が財産権を目的とする法律行為をしたこと
③ ②の当時、債務者に債権者に対して完全な弁済をする資力がないこと、または、②の法律行為により完全な弁済をする資力がなくなったこと
④ ②の法律行為が債権者を害する行為であることを基礎づける評価根拠事実
⑤ 債務者が債権者を害する行為であることを認識していたこと
①は詐害行為以前に発生したものであることを要する。
資力の回復については取消しを争う相手方が主張・立証責任を負う。
記載
Xは、平成23年9月9日、Aに対し、1000万円を貸し付けた。
Aは、平成24年10月10日当時、甲土地を所有していた。
Aは、平成24年10月10日、Yに対し、甲土地を500万円で売った。
Aは、同日、Yに対し、甲土地につき、③の売買契約に基づき、所有権移転登記手続きをした。
Aには、③の売買契約当時、甲土地以外にXの①の代金債権を満足させるに足りる財産はなかった。
Aは、③の売買契約当時、これによって債権者を害することを知っていた。
適正価格での不動産売買も原則として詐害行為にあたるため、請求原因では売買契約の締結を主張すれば足りる。
抗弁
受益者(または転得者)の善意の抗弁
資力の回復の抗弁
相当行為の抗弁
要件事実
① 不動産の売却代金が適正価格であったこと
② 債務者は、その代金を生活費に充てる目的で売却し、生活費として使用したこと
被保全債権に関する主張
不当利得返還請求
一般的な要件事実
① 被告の利得
② 原告の損失
③ 損失と利得間の因果関係
④ 被告の利得に法律上の原因がないこと
利得の減少・消滅は抗弁。
給付型
要件事実
① 原告から被告への給付
② ①を基礎づけていた法律関係の不存在
給付が被告の利得、原告の損失、因果関係に相当。
原告が自ら行った給付について不当であるとして返還請求することは、原告において自らした給付が不当であることを基礎づけて初めて正当化されるため、法律上の原因がないことに該当する事実も原告において主張・立証すべき。
記載
Xは、平成24年10月18日、Yに対し、100万円を支払った。
①の支払は、Yが同月17日Xに対し甲自動車を代金100万円で売った売買契約に基づくものであった。
XとYは、同月30日、②の売買契約を合意解除した。
侵害型
要件事実
① Xの乙建物所有
② Yが乙建物を占有し、賃料相当額の利得を得たこと
①②で既に乙建物の占有という利得が本来原告に帰属すべきことと被告がその利得を保持していることが示されているため、法律上の原因がないことの要件は抗弁となる。
記載
Xは、平成24年3月1日当時乙建物を所有していた。
Yは、乙建物を平成24年3月1日時点および平成24年12月31日時点で占有していた。
甲建物の賃料相当額は②の当時、月8万円である。
法律上の原因がある旨の抗弁