司法試験・予備試験実践論証

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【再現答案】令和元年司法試験労働法

労働法はもっと良かったと思っていましたが、あまり評価が伸びませんでした。勉強時間が足りなかったかもしれません。

 

59.48 126~142位

 

第1問

 

第1 設問1

1  Xは、Y社に対し、本件解雇は無効であるとして、①労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求、②解雇期間中の未払い賃金請求(民法536条2項)、③不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をすることが考えられる。

2⑴ まず、本件解雇は、解雇予告手当労働基準法(以下、労基法)20条1項本文、Y社就業規則(以下、規則)33条)の支払なく行われた即日解雇である。かかる解雇予告手当なき即日解雇のためには、「労働者の責めに帰すべき事由」(労基法20条1項但書)、「本人の責めに帰すべき事由」(規則33条但書)が必要である。

 ア ここで、労基法20条1項が解雇にあたり、予告または予告手当の支払を要求した趣旨は、解雇が労働者の経済生活に重大な影響を与えることにかんがみ、その影響をできるだけ抑制しようとする点にある。したがって、「労働者の責めに帰すべき事由」とは、労働者にかかる保護を与えるに値しない場合、すなわち、労働者の悪質性が高く、それ以上の継続雇用が会社に重大な損害を被らせるといえる場合をいうと解する。

 イ Xの成績評価は低下しているが、従前のXの勤務状況が良好であったことから、それは新店長のPとの折り合いが悪く、不当な評価を受けたためであるといえ、Xの責めに帰すべき事由には当たらない。

  また、スタッフ・ミーティングにおいて上司であるPに対し、「いい加減にしてください」と大声で叫び、「勤務改善の誓い」という文書を破り捨てた行為も、PのXに対する不当な叱責に触発されたものである。すなわち、Xは他の同僚と同等以上の仕事をしているにもかかわらず、PはXの些細なミスを論い、Xを厳しく叱責している。また、Xの上記行為があった日も、Xの起こしたトラブルは小さなものであったにもかかわらず、従業員全員の集まったスタッフ・ミーティングにおいて、全員の目の前でXを呼び出し、叱責した上で、「勤務改善の誓い」へ署名させようとしている。Xの起こしたトラブルが小さなものであったことから、Pとしてはこのような大仰な対応をする必要はなく、かかる対応は徒にXの自尊心を傷つけるものといえる。そして、Xには、Pの従前からの不当な取り扱いによるストレスが溜まっていたところ、かかる対応によりそれが爆発したものといえ、上記のような反抗行為はPに触発されたものであり、Pにも責任があるから、Xの責めに帰すべき事由にはあたらない。

 ウ したがって、本件解雇は即日解雇の要件を欠いており、違法である。

 ⑵ では、かかる要件を欠く即日解雇は無効となるか。

  ここで、判例は、要件を欠く即日解雇も、使用者が即日解雇に固執する趣旨でない限り、30日間が経過するか、使用者が解雇予告手当を支払った時から有効となるとする。

  かく解すれば、本件解雇も30日が経過した時点から有効となり得る。

しかし、当初無効であった解雇が、30日間放置すれば有効となってしまうとするのはあまりに便宜に過ぎ、妥当でない。そこで、労働者は、解雇の無効を争うこともできるし、解雇が有効なことを前提として予告手当の支払を請求することもできると解すべきである。

Xは本件解雇の効力を争いたいと考えているのであるから、本件解雇の無効を主張することができる。

 ⑶ したがって、本件解雇は無効である。

3⑴ 仮に、判例にしたがって、本件解雇は労基法20条1項には反しないと判断されたとしても、本件解雇が「客観的に合理的な理由」を欠き、「社会通念上相当」と認められない場合には、解雇権の濫用として無効となる(労働契約法(以下、労契法)16条)。

 ⑵ア 客観的合理的理由の存否は、基本的には就業規則の解雇事由を合理的に解釈してその該当性から判断すべきである。

  Y社はXを懲戒解雇としてもよいところ、温情で普通解雇にしたものであると主張しているが、懲戒解雇と普通解雇はその趣旨が大きく異なるため、懲戒解雇の普通解雇への転換は許されない。

  したがって、Xが仮に規則40条4号に該当するとしても、これを理由に普通解雇することは許されない。

  よって、解雇事由とされた規則32条2号、4号、7号該当性が認められなければ本件解雇は客観的合理的理由を欠き無効となる。

 イ(ア) 同条2号は、能力不足、勤務成績不良を解雇事由としているが、ジョブ型雇用と異なり、メンバーシップ型の雇用においては、終身雇用が前提とされるため、能力不足等が解雇事由として認められるには、労働契約において求められる職務能力についての不足の程度が重大で、企業の運営に支障をきたすおそれがあること、改善の機会を与えたにもかかわらず改善が見られないこと、今後においても改善の見込みがないことが必要とされると解する。同号が「改善の見込みがないとき」としているのもかかる趣旨であると解される。

  Xは中途採用ではあるものの、特定の能力が必要とされるわけではない接客係として雇用されているのであるから、Xの雇用はメンバーシップ型雇用であるといえる。そして、XはPが着任するまでは問題なく職務をこなしており、有望な者とみられていたのであるし、上記のようにXの成績が低下したのはPの不当な扱いによるものといえるから、Xは労働契約において求められる職務能力についての不足はないといえる。また、PはXをたびたび叱責しているが、叱責の原因がXの些細なミスや小さなトラブルであり、叱責の必要性は認められないから、これらの叱責は単にPのXに対する個人攻撃にすぎず、Xに対し職務の改善の機会を与える趣旨のものであるとはいえない。上記のようにXには職務能力の不足は認められないから、改善の見込みがないともいえない。

  したがって、同号にはあたらない。

 (イ) 同条4号は、協調性または責任感を欠き、従業員として不適格であることを解雇事由としている。

  しかし、XがPに対して反抗的態度をとったのは上記のようにPの不当な扱いに起因するものであるから、Xに協調性または責任感の欠如が認められるとはいえず、Xは従業員として不適格とはいえない。

  したがって、同号にもあたらない。

 (ウ) 同条7号は、その他のやむを得ない事由を解雇事由としている。

  しかし、上記のようにXには職務能力の欠如も認められないし、反抗的態度もXの責めに帰すべき事由によるものとはいえない。また、その他に特にXに落ち度はなく、Xを解雇しなければならないやむを得ない事由はない。

  したがって、同号にあたらない。

 ウ よって、本件解雇は客観的合理的理由を欠く。

 ⑶ 以上より、本件解雇は無効である。

4 したがって、①は当然に認められる。また、無効な解雇は不法行為法上の違法性を有するから、③も認められる。そして、違法無効な解雇によって就労できなかったのは「債権者の責めに帰すべき事由」(民法536条2項)といえるから、②も認められる。

第2 設問2

1 Xはホテル専門学校を卒業していないにもかかわらず、同学校を卒業したものとして応募書類を作成しているから、経歴を詐称しているといえる。そこで、Y社としては、規則40条1号に該当するとしてXを改めて懲戒解雇することが考えられる。

2⑴ 懲戒解雇は懲戒として行われるものであるから、「使用者が労働者を懲戒することができる場合」で、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」と認められないと懲戒権の濫用として無効となる(労働契約法(以下、労契法)15条)。

 ⑵ア 労働者は労働契約に基づく義務として企業秩序遵守義務を負い、使用者は事業の正常な運営を確保するため、就業規則に懲戒の種別と事由を明記し、それが契約の内容となっている場合には一種の制裁罰として懲戒を課すことができると解する。

  規則40条には懲戒解雇事由として各号が具体的に定められており、就業規則に懲戒の種別と事由が明定されているといえる。そして、かかる規定は合理的であり、周知もされていると考えられることから、X・Y社間の労働契約の内容となっているといえる(労契法7条)。

 イ では、Xに懲戒事由該当性は認められるか。

経歴詐称は労使間の信頼関係を破壊するのみならず、使用者の労働者に対する労働力の評価を誤らせ、将来における事業の運営にも影響を与え得るから、これを理由として懲戒を行うことも認められ得る。

しかし、懲戒が刑罰類似の性質を有し、労働者に大きな不利益を与えることにかんがみ、懲戒事由は限定的に解釈すべきである。そこで、経歴詐称により懲戒解雇を行うことが許されるのは、詐称した経歴が、使用者が真実を知っていれば当該労働者を雇わなかったであろうといえる重要なものであり、当該経歴詐称により企業秩序が害される現実的な危険性が認められる場合に限られると解する。規則40条1号が「重要な」としているのもかかる趣旨である。

Xは中途で採用された者であるが、上記のように接客係として雇用されているにすぎず、Xには特定の職務能力が期待されているわけではない。そして、たしかにXはホテル専門学校の卒業の有無という経歴を詐称しているが、Xの行う接客業は特殊な知識や経験を要求されるものでないから、Xの業務内容にとってホテル専門学校を卒業しているという事実はさほど重要ではない。したがって、仮にY社がXはホテル専門学校を卒業しておらず、同学校を中退していたことを知っていたとしても、Y社はXを雇わなかったであろうとはいえず、Xが詐称したのが重要な経歴であるとはいえない。

また、Xはホテル専門学校を卒業していなかったが、上記のように十分に職務をこなしていたのであるから、経歴詐称によって企業秩序が害される現実的な危険性もなかったといえる。

したがって、Xは規則40条1号にはあたらない。

ウ よって、「使用者が労働者を懲戒できる場合」とはいえない。

3 以上より、Y社がXを懲戒解雇することは懲戒権の濫用であり、許されない。

                              以上

 

第2問

 

第1 設問1

1 X組合は、Y社のビラの撤去が支配介入の不当労働行為(労働組合法(以下、労組法)7条3号)にあたるとして、労働委員会において、Y社に対し、ポスト・ノーティス命令を出すよう申立て(労組法27条以下)を行うことが考えられる。また、裁判所において、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)を行うことが考えられる。

2 労働委員会における救済について

⑴ まず、本件ビラ撤去が支配介入の不当労働行為にあたるか。

ア ビラの掲示は団体交渉の要求を貫徹するために事業の正常な運営を阻害する行為とはいえないから、組合活動にあたる。そして、本件ビラの掲示が正当な組合活動であれば、これを妨害する本件ビラの撤去は支配介入行為にあたることになる。

 (ア) 組合活動の正当性は主体、目的、態様の点から判断されるべきであるが、本件ビラ掲示は団体交渉の当事者であるX組合が行っているから、主体は正当である。また、本件ビラはY社のセクハラ行為に対する対応がセクハラを隠蔽しようとするものであり、コンプライアンス上問題がある旨を告発し、Y社の団体交渉拒否を非難するためのものである。これらはいずれも労働者の地位の向上に直接的に結びつく事柄であるから、目的としても正当であるといえる。

  もっとも、使用者は操業の自由を有し、使用者の所有する施設には使用者の施設管理権が及ぶところ、使用者が組合の施設利用を受忍しなければならない理由はなく、許諾なく組合が施設を利用した場合には、使用者の施設管理権を害するものとして原則として組合活動の正当性は否定される。しかし、使用者が施設の利用を拒否することが施設管理権の濫用にあたるといえる特別の事情がある場合には、例外的に正当性が認められると解する。

 (a) X組合・Y社間には本件労働協約が結ばれており、本件労働協約27条に基づいてY社はX組合に本件掲示板を貸与している。したがって、本件ビラの掲示が本件労働協約28条に該当するものでない限り、X組合による本件掲示板の利用には、Y社の許諾があるといえる。

  本件ビラは上記のようにY社のセクハラ隠蔽及び団体交渉拒否を非難する内容のものである。Aに対する上司のセクハラの事実の有無については、苦情処理委員会でもはっきりとした結論は出ていない。そして、苦情処理委員会において会社側委員は一方当事者である上司からのヒアリングのみに基づいてセクハラの事実はなかったと主張しており、会社側としてセクハラの有無を明らかにしようという姿勢にかけることは明白である。また、Aの査定は組合労働者の待遇に関する事項であるから義務的団交事項といえるところ、Y社はAの査定について苦情処理委員会において一方的な意見表明をするだけで、十分な説明等をしていないにもかかわらず、団体交渉を拒否しているから、Y社の団体交渉拒否は不当なものである(労組法7条2号)。そうだとすれば、本件ビラの内容は事実に基づくものといえるから、「会社の信用を傷つけ」るものでないし、「個人をひぼうし」、「事実に反し」、又は「職場規律を乱すもの」とはいえない。

  したがって、本件ビラは本件労働協約28条には該当しない。

  よって、本件ビラ撤去は支配介入行為にあたる。

 (b) 仮に、本件ビラの内容が本件労働協約28条に該当するとしても、Y社の本件労働協約29条に基づく撤去が、施設管理権の濫用にあたるといえる特別の事情があれば、本件ビラ撤去は支配介入行為にあたることになる。そして、かかる特別の事情の有無は、組合の施設利用の必要性、企業運営への支障の有無、程度、使用者の措置の相当性等を総合的に考慮して判断すべきである。

  X組合としては、Y社との間の団体交渉の状況を広く組合員に伝達するためには本件掲示板におけるビラの掲示という手段をとることが最も適当な手段であるから、本件掲示板を利用する必要性は高いといえる。

  上記のように本件ビラの内容は事実に基づくものであり、また、Y社側の主張をも記載しているものであるから、Y社への反感を不当にあおるものとはいえず、本件ビラ掲示によって企業秩序が害されるおそれはなく、企業運営に支障が生じることはない。

  Y社は撤去前にX組合に対して通告をしているものの、通告の翌日に撤去という直接的手段に至っており、X組合に通告に対応する時間を与えていない。したがって、Y社の措置が相当性を有するとはいえない。

  よって、Y社の本件ビラ撤去が施設管理権の濫用にあたるといえる特別の事情がある。

(c) 以上より、本件ビラ撤去は支配介入行為にあたる。

 (イ) そして、Y社は苦情処理委員会におけるX組合との対立から、X組合に対する反組合的意思を有しており、本件ビラ撤去もかかる反組合的意思に基づいて行われたものといえる。

  したがって、不当労働行為意思も認められる。

 (ウ) よって、本件ビラ撤去は支配介入の不当労働行為にあたる。

 ⑵ 以上より、X組合の救済命令申立てが認められる。

3 裁判所における請求について

労組法7条は憲法28条を実効化するための規定であるところ、私法上の強行規定であると解すべきである。したがって、不当労働行為が成立すれば、不法行為法上の違法性が認められる。

 よって、上記のように本件ビラ撤去は支配介入の不当労働行為にあたる以上、本件ビラ撤去には不法行為法上の違法性が認められ、X組合の請求が認められる。

第2 設問2

1 X組合は、Y社のチェック・オフ(以下、C.O)中止は支配介入の不当労働行為にあたるとして、労働委員会において、Y社に対しX組合との間でC.Oを行うよう命令するよう申立てを行うことが考えられる。また、裁判所において、Y社に対し、C.Oを行う義務があることの確認請求及び不法行為に基づく損害賠償請求を行うことが考えられる。

2 労働委員会における救済について

⑴ C.Oは使用者と労働組合との間の取立委任契約と使用者と労働者との間の支払委任契約によって成立する。そして、X組合とY社間では本件労働協約によって取立委任契約に係る合意が設定されていたところ、Y社は本件労働協約を適法に解約(労組法15条4項)している。そうだとすれば、労働協約の債務的部分は労働協約失効後には当然に効力を失うと解されるから、X組合・Y社間の取立委任契約も消滅しており、賃金控除を行う法的根拠が失われたとしてY社がC.Oを行わないことも許されるとも考えられる。

 しかし、C.O等の使用者による組合に対する便宜供与が組合の存続に多大な影響を与えることにかんがみ、便宜供与の中止は、合理的理由があり、使用者の組合の理解を得ようとする努力が認められ、組合の利益に対する相当の配慮がなされている場合でない限り、支配介入行為にあたると解する。

 上記のように、X組合による本件ビラ掲示は正当な組合活動であり、本件ビラ撤去は不当労働行為にあたるのであるから、X組合がこれに反発することには正当な理由があるといえ、信頼関係の破壊はむしろY社に帰責されるべき事柄である。そして、Y社がC.Oを行うことには経済的観点等から何らの支障もないのであるから、X組合に対してC.Oを中止する合理的理由は認められない。

 また、Y社はX組合と何ら協議することなく、一方的に本件労働協約の解約を通告し、実際に本件労働協約を解約しているから、X組合の理解を得ようとする努力は認められない。

 そして、Y社は何らの代償措置等を講じることなく、X組合に多大な不利益を被らせるC.O中止に踏み切っているのであるから、X組合の利益に対する相当の配慮がなされているともいえない。

 したがって、Y社によるC.Oの中止は支配介入行為にあたる。

⑵ そして、Y社はX組合の反発に対抗してC.Oを中止しているから、これはX組合に対する報復としてなされたものといえ、反組合的意思も認められるから、不当労働行為意思が認められる。

⑶ したがって、C.O中止は支配介入の不当労働行為にあたる。

⑷ よって、X組合の救済命令申立てが認められそうである。

 もっとも、労働委員会はX組合との間でC.Oを行うことまで命ずることができるか。かかる救済命令を行うことは労働委員会の裁量の限界を超え、裁量権の逸脱濫用であるとして許されないのではないかが問題となる。

ア ここで、不当労働行為に対する救済命令制度は、使用者の多様な不当労働行為に適切に対応し、労使関係の正常化を目指すことを趣旨とするから、労働委員会にはかかる趣旨に照らして広範な裁量が認められる。そして、労働委員会の救済命令が原状回復との著しい乖離がある、私法的法律関係との著しい乖離がある、強行法規に違反するといった場合でない限り、労働委員会裁量権の逸脱・濫用は認められないと解する。

イ 上記のようにC.Oの中止は不当労働行為にあたるところ、上記のように労組法7条は私法上の強行法規であるから、C.Oの中止は無効となる。したがって、中止以前にはX組合・Y社間には本件労働協約が存在していた以上、Y社にC.Oを行うことを命じることも原状回復状態と著しく乖離するものとはいえない。

 また、X組合側に本件労働協約に基づくC.Oを継続する意思が認められるため、C.Oを命じることも私法的法律関係と著しく乖離するものとはいえない。

 そして、C.O中止が無効である以上、少なくともC.Oに関する部分については過半数組合であるX組合との間で本件労働協約が存在するものと扱うべきであるから、C.Oを行うことは賃金全額払い原則(労働基準法24条1項)にも反せず、C.Oを行うことを命じても強行規定に反することにはならない。

ウ したがって、C.Oを行うことを命じることも労働委員会の裁量の限界を超えない。

エ よって、X組合の救済命令申立てが認められる。

3 裁判所における請求について

 上記のように労組法7条は私法上の強行法規であり、Y社のC.Oが支配介入の不当労働行為にあたる以上、Y社はC.Oを行う義務を負っており、また、C.Oを中止したことには不法行為法上の違法性が認められるといえる。

 したがって、X組合の両請求が認められる。

                           以上