司法試験・予備試験実践論証

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【論証】会社法5機関⑴株主総会

株主総会は司法試験・予備試験でもほとんど毎年出ているといってもいいほど頻出の分野です。株主総会決議の効力の争い方として出題されることが多いので、まず取消事由、無効事由、不存在事由の総論の論証を展開してから、総会決議の瑕疵について検討するという書き方がセオリーです。そのため、株主総会の権限、株主提案権、議決権行使、議事・決議の項で検討する事項も、取消事由などが認められるか、という枠組みで書くことが多いです。

 

 

 

 

株主総会の権限

 

取締役会設置会社の場合、株主が直接、経営上の決定に深く関与することが予定されています。したがって、株主総会は一切の事項について決議をすることができます(295条1項)。非取締役会設置会社において株主総会は万能の意思決定機関といえます。

 

一方、取締役会設置会社では、通常の経営は取締役会に委ねられているので、株主総会会社法又は定款に規定する事項についてのみ、決議をすることができます(295条2項)。

 

ここで、取締役会設置会社において、取締役会等の権限を株主総会に委譲することが許されるかが問題となります。

 

代表取締役の選定

 

【論証:株主総会の権限 代表取締役の選定】

 取締役会設置会社においては、法律または定款に特に定められた事項のみが株主総会の決議事項となる(295条2項)。そして、代表取締役の選定は取締役会の権限とされている(362条2項3号)。では、定款の記載によってこれを株主総会の権限とすることができるか。

 ここで、29条会社法の規定に反しない限り、定款への記載を何ら制限していない。また、代表取締役は取締役会の派生機関ではなく、会社の機関である。したがって、その選定は必ずしも取締役会がなす必要はない。そして、代表取締役の選定権限を取締役から株主総会へ委譲すると取締役会の監督機能の実効性が失われるとも考えられるが、取締役には株主総会の招集(296条3項)など、他の監督手段も存在するため、監督機能が損なわれるともいえない。

 したがって、定款の記載によって代表取締役の選定権限を株主総会へ委譲することは認められると解する。

 

 

業務執行

 

では、取締役会の本来的な職務である業務執行自体の権限を株主総会に委譲することは許されるのでしょうか。

 

【論証:株主総会の権限 業務執行】

 取締役会設置会社においては、法律または定款に特に定められた事項のみが株主総会の決議事項となる(295条2項)。そして、業務執行の決定は取締役会の権限とされる(362条2項1号)。では、定款に記載すれば、業務執行事項について株主総会に決定権限を留保することができるか。

 ここで、29条会社法の規定に反しない限り、定款への記載を何ら制限していないこと、通常の業務執行事項の決定権限を取締役会に認めた趣旨は経営の合理化を図る点にあるところ、会社の所有者たる株主自らが合理性を損なってでも自ら決定したいというのであればこれを禁止する必要はないと考えられることから、定款に記載すれば、株主総会に業務執行事項の決定権限を留保することも可能とも考えられる。

 しかし、仮に経営上の裁量を制約する内容が定款で記載された場合には、取締役は定款順守義務(355条)を負うから、取締役が最善と判断する選択肢をとることが許されなくなることがあり得る。かかる不都合を回避するため、将来的に経営上の裁量を制約するおそれのある事項については、355条に抵触するものとして定款には記載できず、株主総会に決定権限を留保することは許されないと解すべきである。*1

 

反対説でとどめても十分であると思います。

 

株主提案権

 

株主提案権もやや出題されやすい分野といえます。条文をよく確認しておいてください。

 

【論証:株主提案権と不当拒絶】

 Xは、本件提案を本件総会において議題にし、議案の要領を招集通知に記載すべきであったにもかかわらず、Y社がこれを行わなかったことが招集手続の法令違反にあたるとして本件総会決議の取消しの訴え(831条1項1号)を提起することが考えられる。

 (訴訟要件充足)

 では、かかる訴えが認められるか。議題提案権を不当に拒絶された株主の救済が問題となる。

 ここで、株主の救済の観点から、議題提案権の不当拒絶はすべての決議に影響を及ぼす決議取消事由になるとの見解もある。

 しかし、ある議題提案権の瑕疵により他のすべての議案の効力が不安定となるとしてはかえって会社の利益を損なう。また、株主提案議題の不当拒絶は同一総会で可決された決議についての瑕疵とはいえない

 そこで、議題提案権の不当拒絶があるとしても、原則として、決議取消事由にはならないと解する。

 もっとも、両議題が密接に関連していて、可決議題の議案を審議するうえで株主提案議題を考慮することが必要かつ有益であるといった特段の事情がある場合には、可決された議題に関する決議の取消が認められ得ると解する。*2

 

議案提案(304条、305条)を無視した場合には当然に取消事由となります。なぜなら、株主提案という代替案を検討しなかった点で会社提案議案の決議にも瑕疵があるといえるからです。

 

 

議決権行使

 

代理人による議決権行使(310条1項)にかかわる論点がよく問題となります。不統一行使(313条1項)については、以前の記事を参照してください。

 

 

shihouyobi.hatenablog.com

 

 

定款による代理人資格の制限

 

【論証:定款による代理人資格の制限】

 代理人資格を株主に限定する定款規定が置かれる趣旨は、株主総会に株主以外の第三者が出席してこれをかく乱することを防止し、会社の利益を保護することにあるため、かかる制限は合理的理由による相当程度の制限であるとして有効である。

 ただし、株主総会かく乱され会社の利益を害されるおそれがなく、代理行使を認めないと事実上株主の議決権行使の機会を奪うことになる場合には、上記の趣旨が妥当しないので、かかる場合には定款の効力が及ばないと解するべきである。*3

 

上記判例の趣旨がどこまで及ぶのかについては争いがあります。たとえば、弁護士を代理人とすることについては、下級審において、定款規定の適用を肯定するもの*4と否定するもの*5に分かれています。

 

また、上場会社においてはだれでも株式を取得して株主総会に出席することができ、会社はこれを防ぐ手段はないのですから、代理人資格を株主に制限しても、好ましくない者の総会出席を防ぐ効果は期待できません。一方で個人株主が代理人による議決権行使を行うことは困難になります。そこで、上場会社においてはこのような定款規定は合理的根拠なく株主のによる議決権行使を制限するものであり、違法・無効とすべきであるとする見解も有力です。*6

 

個人的には、上場会社においては定款規定自体を無効とするか、有効としても適用を限定的にしか認めないとすべきと考えています。

 

 

委任者の意思に反した議決権行使

 

代理人による議決権行を行ったとき、代理人が委任者の意思に反して議決権を行使した場合、かかる議決権行使をいかに扱うべきでしょうか。

 

【論証:委任者の意思に反した議決権行使】

 賛否の記載欄を設けた上で、記載がない場合には白紙委任とすることは可能である。もっとも、賛否の指示があるにもかかわらず、それに反してなされた議決権行使は、無権代理として無効と解すべきである。*7

 

代理人が指示に従って議決権行使をした場合に、会社が、当該委任状記載の賛否の指示に反する形で議決権行使の処理をした場合、それにより成立した決議は、決議方法の法令違反として取消しの対象となります。

 

 

 

委任状勧誘

 

株主提案を行った株主が、自己の提案への賛同を求める場合など、株主が他の株主に対して議決権行使の代理権を授与するように勧誘する行為を委任状勧誘といいます。

 

委任状勧誘については、金融商品取引法の委任状勧誘規制を受けます。この規制の内容について知っておく必要はないと思いますが、この規制に反して委任状勧誘が行われた場合の処理については知っておくとよいと思います。

 

【論証:委任状勧誘規制違反】

 委任状勧誘規制(金商法194条等)に違反した委任状勧誘が行われた場合、決議方法の法令違反があるといえるか。

 勧誘行為は株主総会決議の前段階の事実行為にすぎないため、委任状勧誘規制違反があったとしても、これをもって決議方法に法令違反があるとはいえない

 もっとも、勧誘行為の違法性が著しく、被勧誘者の議案に対する賛否の判断が歪められるおそれが強いときは、決議方法が著しく不公正であるとして、決議は取り消されるべきである。*8

 

書面投票に代わるものとして株主全員に対して委任状勧誘が行われる場合には、委任状勧誘規制を遵守した勧誘をすることが、適法な決議の要件と解されるから、委任状勧誘規制違反が決議方法の法令違反になるとしてよいと考えられます。*9

 

 

議決権拘束契約

 

株主間で、議決権をどのように行使するかについて合意が結ばれることがあります(議決権拘束契約)。このような合意があった場合、当該合意に反して議決権が行使された場合に決議の効力に影響があるか否かが問題となります。

 

【論証】議決権拘束契約違反の議決権行使

 そもそも、議決権行使を拘束する契約は有効か。

 株主は元来議決権を任意に行使できるのであり、自らの意思に基づいてその行使の仕方についてあらかじめ他の株主と合意することも、契約自由の原則からは認められるべきである。

 したがって、議決権拘束契約は一般に有効であると解する。

 では、議決権拘束契約に違反した議決権の行使がなされた場合、当該株主総会決議の効力に影響があるか。

 ここで、契約の効力は当事者間にしか及ばないから(契約の相対効の原則)、契約に違反した議決権行使がなされたとしても、 当事者の債務不履行責任を生じるにとどまり、決議の効力には影響しないのが原則である。もっとも、全株主が議決権拘束契約の当事者になっている場合には、これに反する会社の行為の効力を否定しても、不利益を被る株主はいないから、定款違反の決議と同視して、当該決議は取消しうべきものになる(831条1項2号参照)と解すべきである。*10

 

会社と株主間での議決権拘束契約は、経営者の会社支配のために利用されるおそれが大きいため、無効と解する見解が有力です。*11

 

 

議事・決議

 

議事整理権限

 

議事の進行上の問題点については、議長の議事整理権限(315条)が問題となることが多いです。議事整理権限は、取締役の善管注意義務に沿って行使されなければならず、行使が必要であり、また、当該行使が相当な範囲にとどまっている場合にのみ適法となります。*12

 

 

説明義務

 

説明義務については、まず、①取締役が説明義務を負うかの問題を論じ(条文の指摘とあてはめです。規則に注意してください)、次に、②取締役が行った説明が説明義務を果たしていないといえるか(説明義務の程度の問題)を論じます。

 

【論証:取締役等の説明義務】

 株主総会において株主から特定の事項について説明を求められた場合、取締役は、当該事項について必要な説明をしなくてはならない(314条1項本文)。

 もっとも、当該事項が議題に関しないものである場合、説明が株主共同の利益を著しく害する場合(同項但書)や、説明のために調査を要する場合(会社法施行規則71条1号)、説明が会社その他の者の権利を侵害する場合(同条2号)、株主が同一事項について繰り返し説明を求める場合(同条3号)、その他正当な理由がある場合(同条4号)には、説明を要しない。

 ただし、同条1号の場合には、株主が総会日の相当期間前に質問事項を通知していた場合(同号イ)や、調査が著しく容易である場合(同号ロ)には、説明を拒めない。

 

株主が議場で質問しなかった場合

 株主が質問事項の事前通知をしていたとしても、それは質問そのものとはいえないので、株主が実際に総会議場で質問をしない限り、取締役はそれに答える義務を負わないと解する。*13

 

必要な説明の程度

 314条1項が取締役に説明義務を課した趣旨は、株主が議決権行使の前提としての合理的な理解及び判断を行うため、必要な説明を受け得ることを保障する点にある。また、基準としての明確性及び説明の相手方が多数人であることから、当該質問株主や当該説明者の実際の判断を基準とすることは妥当でない。そこで、取締役は、平均的な株主が、議題について合理的な理解及び判断をするために客観的に必要と認められる程度の説明をすれば足りると解する。*14

 

平均的株主以上の知識、判断資料を有している場合には、質問株主がすでに保有する知識等を考慮することができます(314条1項の趣旨に反しないため)。

 

どの程度の説明が必要かは、その事項が株主総会決議事項とされた趣旨を考慮すべきです。*15

 

質問権を制限することは、議事整理権(315条)の行使として合理的な範囲で可能です。*16

 

 

株主総会決議の瑕疵を争う訴え

 

取消しの訴え

 

取消事由については明文(831条1項各号)があります。①招集手続に法令違反がある場合、②決議の方法に法令違反がある場合、③決議の方法に定款違反がある場合、④決議の方法が著しく不公正な場合(以上、1号)、⑤決議の内容に定款違反がある場合(2号)、⑥特別利害関係人の議決権行使により、著しく不当な決議がされた場合(3号)です。

 

⑥の特別利害関係人とは、決議の結果について、他の株主とは共通しない利害を有する者をいいます。*17⑥の場合は、特別利害関係人にあたること、この者が議決権行使をしたこと、決議が著しく不当なものであること、特別利害関係人の議決権行使と決議の結果に因果関係があることをしっかり認定するようにしましょう。

 

手続的な問題としては、原告適格、訴えの利益、取消事由の追加(出訴期間)などが問題となります。

 

原告適格

 

他の株主に対する招集手続に瑕疵があったという場合に、これを株主総会決議の瑕疵として主張することが許されるかという問題です。

 

【論証:取消の訴え 原告適格

 条文上株主が主張できる事由は当該株主自身に関する手続の瑕疵に限定されていないし、株主は株主総会の手続が全体として適正に行われることについて正当な利益を有しているというべきである。したがって、株主が、他の株主に関する手続の瑕疵を理由に決議取消しの訴えを提起することも認められると解する。*18

 

この論点は非常に頻出なので、抽出し忘れないように注意しましょう。

 

 

訴えの利益

 

訴えの利益が問題になるケースとしては、まず、「否決の決議」に対する取消しの訴えの適否が問題となる場合、次に、先行決議で選任された取締役が退任し、後行決議により後任取締役が選任されたときの先行決議の取消しの適否が問題となる場合があります。

 

【論証:否決の決議】

 株主提案が否決された場合、提案株主はこの判断を決議取消しの訴えで争うことができるか。

 否決も株主総会の判断である以上「決議」にあたり、また、株主提案を否決した判断が取り消されれば、提案株主による今後3年以内に同一の理由での再提案が可能となり、新たな法律関係の展開が予定される(304条但書)から、訴えの利益が認められるとする見解もある。

 しかし、309条各項の文言は否決の決議を想定していないと読むのが自然である。また、同一理由の再提案については、実際に株主がこれを行い、会社が拒否したときに改めて争うことも可能である。そもそも、否決の場合には何ら新たな法律関係が展開するものではなく、訴えの利益がないと解すべきである。*19

 

株主提案以外の場合には、上記の理由付けのうち株主提案にかかわる部分を除いてください。

 

 

【論証:役員選任決議に瑕疵がある場合と訴えの利益】

 先行決議で選任された取締役が退任、後行決議により後任取締役が選任された場合、先行決議の取消しの訴えの利益が認められるか。

 先行決議で選任された取締役が退任している以上、特別の事情のない限り、先行決議を取り消す実益はなく、先行決議取消しの訴えの利益は認められないと解する。

 そして、先行決議の効力が否定された場合、後行決議の効力にも影響が及ぶ(瑕疵連鎖)場合には、先行決議の効力が否定されれば、後行決議により選任された現任の取締役の地位が否定されることになるから、先行決議を取り消す実益がある。したがって、このような場合には上記の特別の事情があるといえ、訴えの利益は否定されないと解する。*20

 

先行決議が取り消された(不存在でも同様)場合、そこで選任されたとされる取締役によって構成される取締役会は正当な取締役会とはいえず、その取締役会で選任された代表取締役も正当に選任されたものではなく、株主総会の招集権限を有しないことになります。したがって、このような代表取締役が招集した株主総会において行われた後行決議は、全員出席総会においてなされたなどの特段の事情がない限り、法律上不存在といえます。そうだとすれば、後行決議で選任された取締役は取締役たる地位を否定されることになる、ということです。

 

ただし、先行決議を取り消したとしても後行決議に瑕疵があるといえない場合もあるため、本当に瑕疵連鎖が生じているといえるのか注意が必要です。*21

 

 

出訴期間

 

出訴期間の趣旨は上記の通りです。ここでは、取消しの訴えの途中で取消事由を追加することが許されるかを検討します。 

 

【論証:取消事由の追加】

 株主総会決議取消しの訴えに3か月という短期の出訴期間が定められた趣旨は、瑕疵が相対的に軽微であることを前提に、決議の効力を早期に確定して法的安定性を確保する点にある。

 ここで、期間制限はあくまでも訴えの提起に関するものであるから、出訴期間内に訴えが提起された場合には、法的安定性の要請は後退し、攻撃防御方法にすぎない取消事由の追加は許してよいとする見解もある。

 しかし、会社は総会決議の効力について早期に見通しを持ち、それを前提に業務執行をすることへの期待がある。そのためには、原告がいかなる瑕疵を問題にしているかが早期に判明することが重要であるから、取消事由の追加を許すことは上記の意味での法的安定性を害し、妥当でない。

 したがって、取消事由の追加は認められない。*22

 

判例は、決議後3か月以内に決議無効確認の訴えの中で決議無効事由として誤って主張していた場合に、3か月経過後に決議取消しの訴えに訴えを変更し、取消事由として主張しなおすことは許容しています。*23

 

ここから、判例は出訴期間を満たしているか否かを、取消事由たる瑕疵の事実を裁判で主張した時期によって判断していると考えられます。

 

 

無効確認の訴え・不存在確認の訴え

取消しの訴えが形成訴訟(訴えによらなければ有効な決議を判決によって取り消す)であるのとは異なり、これらの訴えは、初めから無効または不存在である決議を判決によりそう確認する確認訴訟です。

 

原告適格、出訴期間について制限がありません。また、無効確認の訴えによらずに決議の無効を主張することも可能です。

 

判決には対世効、遡及効があります。

 

無効事由については明文がありますが、不存在事由については明文がなく、法律上不存在の場合も含むかが問題となります。

 

【論証:株主総会決議不存在確認の訴え 不存在事由】

 株主総会の瑕疵が軽微ではない場合にも、株主総会決議取消の訴えの出訴期間が経過すれば決議の効力を争えなくなってしまうとするのは妥当でない。そこで、株主総会決議不存在確認の訴えにいう「不存在」には、物理的に決議が存在しない場合のみならず、手続的瑕疵が著しいため、法律上、決議が存在したとは評価できない場合も含まれると解される。

 上記のように、瑕疵が取消事由にとどまる場合には、決議は出訴期間の経過により確定的に有効になるのに対し、不存在事由にあたる場合には時間の経過により確定的に有効になることはない。そこで、いかなる瑕疵が不存在事由となるかは、決議の効力の早期確定の要請を犠牲にしてでも決議の効力を争わせることが望ましいといえるほど、手続の瑕疵が著しいと評価できるかにより決すべきである。そして、かかる評価にあたっては、瑕疵の主観的態様も考慮すべきである。*24

 

法律上不存在の場合の例としては、代表権のない取締役が取締役会決議なく招集した場合*25や、招集通知漏れの程度が著しい(9名中6名(5000株中2100株保有)に通知漏れ)場合*26などがあります。

 

 

 

 

*1:ロープラp.146

*2:東京高判平成23年9月27日、ロープラp.144、田中p.194

*3:最判昭和43年11月1日〈百選32〉

*4:東京高判平成22年11月24日

*5:神戸地尼崎支判平成12年3月28日

*6:高田晴仁・百選32解説、田中p.177,178

*7:田中p.179、東京地判平成19年12月6日〈百選34〉

*8:東京地判平成17年7月7日、田中p.193

*9:田中p.194

*10:東京高判平成12年5月30日〈百選A14〉、田中p.181,182、浜田道代『アメリカ閉鎖会社法』(商事法務研究会、1974)p.309、全株主の合意を定款規定と同一視した裁判例として、東京地判平成27年9月7日

*11:田中p.182

*12:事例p.150

*13:田中p.185

*14:東京地判平成16年5月13日、田中p.185、ロープラp.140,141

*15:ロープラp.141、退職慰労金議案についての説明義務とすれば、これが総会決議事項とされたのは報酬として流出する財産をコントロールさせる趣旨です。そうだとすれば、流出額(ないしそれに代替する説明(基準の存在、周知性、内容が支給額を一意的に定め得ること))を説明しなければ適正な判断はできないと考えられます。

*16:東京地判平成4年12月24日(質問数、時間を制限)、札幌地判平成5年2月22日(相当な質疑時間経過後に質疑打ち切り)

*17:田中p.195

*18:最判昭和42年9月28日〈百選36〉、田中p.196

*19:最判平成28年3月4日、ロープラp.145,146、田中p.192

*20:最判昭和45年4月2日〈百選38〉、最判平成2年4月17日〈百選41〉、最判平成11年3月25日、最判昭和58年6月7日〈百選39〉、田中p.202~204

*21:田中p.204

*22:最判昭和51年12月24日〈百選37〉、ロープラp.155,156、田中p.196,197

*23:最判昭和54年11月16日〈百選43〉

*24:田中p.199,200、岩原紳作「株主総会決議を争う訴訟の構造(9・完)」法学協会雑誌97巻8号(1980年)p.1112、事例p.262~266

*25:最判昭和45年8月20日

*26:最判昭和33年10月3日